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OZ-オズ 初診:ノッポ:カルテ1

OZ


ビョーキじゃないやつなんて、病気だ!!

-便所の落書きより







初診:ノッポ:カルテ1 



才能は神からの贈り物だという。中身の選べない贈り物だ。
そして、たいていの場合、返品も不可だ。

したがって、決して望まぬものを贈られたとき、それは才能ではなく
カルマである・・・。



ノッポは、いわゆるニートだ。小学1年生のとき、身長が170cmあった。
そのうえ、カカシのように痩せていて、ネクラだったので、「ノッポ」とよばれて、
酷いいじめにあった。だから、小学校に通ったのは、はじめの2カ月だけだ。
それいらい、23歳になる今まで、ほぼ引きこもりの生活を続けている。

もちろん本名もあるが、もう、よくおぼえていない。
12才のときに両親を失ってから、父親の建てた小さな家と
わずかばかりの生命保険のおかげで生きてきた。

だが、その生命保険も今月で残高が5万円をきった。



「うまい棒・・あと4761本でおわり」そういうと、ノッポは冷蔵庫を
開いた。冷蔵庫の中には、うまい棒めんたいこ味が、びっしりと隙間無く
つめ込まれていた。その中から20本以上を掴み出すと、薄暗いキッチンで
ひたすらに食べ続けた。1人で暮らすようになってから、彼の主食は
うまい棒めんたいこ味だ。1日100本ちかくを食べ、それと常温の水道水以外
は一切口にしない。こんな食生活を10年以上も続けてきて、病気のひとつもない
のだから、彼はあきらかに特異体質だった。医者にいけば、まちがいなく
実験動物にされていたが、虫歯すらない状態ではそんな心配はまったくなかった。


うまい棒を食べ終えると、ノッポは2階の自室へと階段を上った。
その動きは、陸におちたナマケモノが這うように、だらりと脱力して
生気がなかった。部屋へ行く途中のろうかには家の前の通りに面した窓
が2つあったが、両方ともがダンボールや新聞紙で隙間なくふさがれていた。
この家の窓という窓はすべてふさがれていた。そのふさぎかたは、
いまが昼なのか、夜なのかすらもわからない程に徹底されていた。
ノッポは光が嫌いだった。


ノッポは緩慢なうごきで自室のドアを開けた。
するとそこには、異様としか言いようのない空間があった。
部屋じたいは平凡な6畳間だったのだが、まず目をひくのは、
そこかしこに置かれた人体模型や、壁にところせましと
貼られた医学用の図表だった。図表には人体の神経の分布や
血管の分布、内臓の位置と機能などがカラーで描かれていた。


また、机と床をみれば様々な専門書がうず高く積み上げられていた。
彼はそのうちの3冊を床から拾い上げると机に座り込み、極端な
猫背で読みはじめた。『法務省:犯罪白書』『テロリストのレシピ』
『2011年版:犯罪捜査の実情と限界』。テロリストのレシピには、
ご家庭でも簡単に作れる爆弾の作り方が満載されていた・・・。


ノッポはそれらを、まるで何かに憑かれたかのように猛然と読み
こなしていった。そして1時間もしないうちに読み終えると机を
たち、部屋の片隅にあるタンスの前で着替えはじめた。


「また・・きた。もう・・・がまんできない。でも・・ヤルなら
できるだけ悪いやつ・・・神様・・・・ごめんなさい」


着替え終わったノッポは上下ともに量販店で売られている安い
灰色の作業着姿だった。更に、タンスのかたわらに置いてあったリュック
に厚手の雨合羽と、目だし帽、作業用ゴーグルとマスクを詰め込んだ。


最後に清掃用のゴム手袋をポケットに突っ込むと、彼は再び
キッチンへ向かった。その動きは、さきほどまでのものとはまるで
別人のようだった。背筋は芯を通したように伸び、足取りは軽く、まったく
音をたてなかった。それは、あらゆる武道の達人に共通する動きだったが、
もちろん彼にその自覚はなかった。


キッチンに移動すると、彼はシンクの下の戸棚を開いた。
そこには、様々な種類の農薬や洗剤、油脂類がはいったビンと、
釘やパチンコ玉、頑丈な缶などが整然と並んでいた。それらの
「材料」を「レシピ」どおりに料理すると、ジップロックで2重に包み、
それもリュックに詰めた。


「こんなことするの・・・・ぜったいだめ・・・・
でも・・・・・どうしてもがまんできない・・・・神様
・・・勇気をください・・・・勇気をください、勇気をください
勇気を・・・・」


ノッポはつぶやき続けながら、玄関へと向かった。
そして最後に、決して抗えない何かに抵抗するかのように、
もう1度ふりむき、戻ろうとしたが・・・。


「うおーーーーーーーーーー!!!」


ノッポは泣いていた。だが、泣きながらも体は玄関のドアに
向き直り、そして彼はとびらを開けた。


彼の目にすでに涙はなく、そこにはどこまでも続く深い闇が
広がりはじめていた。





















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テーマ : 短章
ジャンル : 小説・文学

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